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2026/09/11 11:45

アートをまとうような2作品《星雲》《茜空》

恭平
こんにちは。
墨流し作家の恭平です。

YOSHIKO
こんにちは。
墨流しアドバイザーのYOSHIKOです。

恭平

はい、ということで、本日もKyohei Friday 8の作品をご紹介いたします。

YOSHIKO
恭平さん、Kyohei Friday 8って、もともと「夜の美術館」というか、小さな美術館を覗くように、皆さんに見ていただきたいというところから始まった企画だったと思うんです。

最近は本当に、どんどん作品の深みが増していて、絵画を見ているような、その先に行っているような感じがしますよね。

恭平
まさに、アートをまとうような作品ができているんじゃないかなと思っています。

YOSHIKO
皆さんに見ていただきたいですね。

恭平
着物が他のファッションと大きく違うところで言うと、やっぱりアートを全身でまとえるところだと思うんです。

日本的な美意識が詰まった、世界に誇れるファッションだと思っていますので、これからもどんどん発信していきたいですね。

YOSHIKO
ということで、本日の作品は2点になりますね。

恭平
今回もすごいですよ。

では早速、まず1点目の作品からご紹介いたしましょう。
こちらになります。


1点目|何層もの青が重なる、夜空のような《星雲》

YOSHIKO
もう、この色が絶妙ですね。

これまでにもお客様から「恭平さんの青って本当に綺麗ですよね」とお話しいただくことが多かったんですけど、今回の作品は、何色使っているのか分からないくらい色数が多くないですか?

恭平
実はこれ、遠目で見るとまとまった配色に見えるんですが、近くで見ると、細かくさまざまな色が配色されているのが分かると思います。

柄自体は、うちで「くるくるマーブル」と呼んでいる、小さめのマーブル模様が重なったデザインになります。

YOSHIKO
これ、大変なんですよね。

恭平
そうですね。

いつものベーシックなマーブル柄と違って、細かいマーブル柄になっている分、手間もかかります。

作る時にも、結構無理な体勢が必要で。
そこをYOSHIKOさんにお願いしている部分もありますね。

YOSHIKO
はい、大変でした。

恭平
この柄も、作るタイミングが大事なので、なかなか出てこないデザインではあります。

それでは、今回の作品名をお願いします。

YOSHIKO
《星雲》という題名をつけました。

今回の作品の大きな特徴は、恭平さんが言ったように、実はたくさんの色を使っているところだと思います。

着た時や遠目で見た時に、すごく立体感が出るんですよね。

夜空の雲がゆっくり動いていたり、雨の前にすごい速さで雲が流れていったり。
空の陰影を作るのは、やっぱり雲なのかなと思った時に、この作品の情景と重なりました。

そこに月の光のような、こっくりした色味が混じり合うことで、すごくドラマチックなデザインになっているなと思います。


仕立て方で変わる、青の見え方

恭平

こちらは、反物幅で細かく染め分けています。

なので、仕立てる時にどちらの色を衿元に出すかによって、雰囲気や印象が変わるようになっています。

衿の色を逆に仕立てた場合のパターンも見てみましょう。
こちらですね。

YOSHIKO
本当に絶妙ですね。

恭平
また急に華やかさが出ますよね。

YOSHIKO
そうですね。

墨流しは、工程を加えれば加えるほど色が混ざり合っていくので、ぱっと見では染め分けされているか分かりにくいこともありますよね。

同じ青の中での変化でもあるので。

でも、こうして見ると、明らかに印象が変わりますね。

恭平
ほんの少しのことなんですけど、やっぱり印象が変わります。

この作品の場合は、どう見せたいか、どういう気持ちで着たいかによって、仕立て方を考えるといいと思います。

YOSHIKO
そうですね。

ただ、本当に絶妙すぎるので、お仕立てのご相談は迷うと思います。

お任せの方もいらっしゃるんじゃないかなと思いますね。

恭平
実際に当てて見たいという方も多いんじゃないかなと思います。

YOSHIKO
そうですね。

「気軽に試着便+」という、ご自宅に反物をお届けして、実際に当てていただけるサービスもあります。

金曜日に発表した作品の場合、月曜日頃からお問い合わせいただければ対応できるかなと思います。

ただ、この作品は染まったばかりなので、後処理が必要だったことを今思い出しました。

なので、後処理後のお届けがいいですよね。

恭平
そうですね。

お申し込み自体は月曜日頃から可能ですが、お届けまでは1週間前後お時間をいただく場合があるかと思います。


深みのある作品を、セオアルファ楊柳で楽しめる特別感

YOSHIKO
今回の作品の特徴として、こういう深みのある作品は、これまでの流れで言うと、袷の着物で表現することが多かったと思うんです。

でも今回は、特別にセオアルファ楊柳に染めているんですよね。

ということは、夏も着られるわけです。

この深みを夏にまとえるって、すごいですよね。

この作品で遊覧船に乗ったり、屋形船に乗ったりしたら、すごく素敵だなと思います。

それに、なんとなく線香花火にも見えてきませんか?

恭平
この黄色の部分が光っているように見えますよね。

YOSHIKO
そうなんです。

そういう着方ができるのも、セオアルファ楊柳に染めたからこそだと思いました。

恭平
題名の通り《星雲》という、少し曇った日の、夜の散歩道を思わせるような配色でもあります。

夏は夜に出かける機会も多いと思うので、屋形船やお祭りなど、夏ならではの夜遊びのシーンにもすごく映えるんじゃないかなと思います。

YOSHIKO
セオアルファ楊柳は、秋口まで着てくださる方も多いですよね。

11月のイベントの時にも、インナーを重ねて着てくださる方がいらっしゃいます。

この作品は透け感もほとんどないので、かなり長く楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。


粉雪のような白いドットが、空を明るくする

恭平
近くで見ると、より繊細さが見えてくると思います。

YOSHIKO
本当ですね。

一点聞きたかったことがあるんですけど、この作品って、一つ一つぐるぐるとマーブルにしていくじゃないですか。

その時点でも、すごく綺麗だったんですよね。

そこに、この細かい白い吹雪のようなドットを重ねていますよね。

粉雪のようなドットが重なると、一気に銀河のように、夜空がぱっと明るくなるんです。

恭平さんがその時に「この空は明るく表現したい」と言っていたのが、すごく印象的だったんですけど。

もともと丁寧に綺麗に作っていたマーブル柄に、さらにドットを重ねると、一見すると少し柔らかくなるじゃないですか。

作り手として、この柄の美しさだけを表現したいと思ったら、そのまま終わらせることもできると思うんです。

でも恭平さんの表現って、その上にドットを散らして、少し歪ませたりする大胆さがありますよね。

この作品を作る時に、それがいいと思った理由というか、どういうインスピレーションで「この空を明るくしたい」と思ったんですか?

恭平
最後の白い粉雪のようなドットで明るくした理由ですね。

この作品には、そういうプラスアルファの味付けが合うなと思ったんです。

YOSHIKO
それは経験なんですかね。

恭平
経験と感覚ですね。

逆に、僕の中で「この柄はドットで崩したくない」と思う時には、シンプルに終わらせます。

曲線や直線を崩したくない時には、先にドットを落としたりして調整することもあります。

そこはもう、感覚としか言いようがないですね。

YOSHIKO
そうなんですね。

この作品を見るたびに、染まった時の事を思い出しますけど、でもやっぱりこれで良かったなと、昨日撮影した時に思いました。

重厚感がありますよね。

よく見ると、ぐるぐるのマーブルがしっかり浮き上がってくるんですけど、遠目で見た時の作品性は、これまでの中でも特別だと思います。

恭平
一見、同系色でまとまった配色に見えるんですけど、場所によって表情が違うところが美しいですよね。

奥行きがあります。

YOSHIKO
地球儀を見ているような、緑みのある青があって、紺が入っていて、まろやかなブルーも入っていて。

何層もの美しいブルーが重なっていますよね。

これはテンションが上がる方がたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思います。

恭平
ぜひ、実際に当ててほしいですね。


2点目|花がぱっと咲いたような、洗える着物《茜空》

恭平
では次の作品にいきましょう。

次の作品はシルジェリーになりますね。
洗える着物です。

こちらになります。

YOSHIKO
お花がぱっと咲いたような華やかさですね。

恭平
はい。
YOSHIKOさん、一瞬言葉を失いましたね(笑)

YOSHIKO
失いますね。

こちらの題名をお伝えしていいですか?

恭平
はい。
こちらの作品名をお願いします。

YOSHIKO
こちらは《茜空》という題名をつけました。

恭平
この色が絶妙ですね。

YOSHIKO
絶妙なんですよね。

昨日、巻きつけて撮影した時に、思わず「欲しい」と声が出てしまいました。

「これを私にください」って。


染め上がった瞬間、想像を超えた美しさに

恭平
この作品を染めている時の事をよく覚えてるんですが。

水面にこの色が配色された時、まだ柄が作られる前、インクが水面上に広がっているだけの段階では、最終的にどこまで綺麗になるかは100%想像できないんです。

その時は、インクと水面と心の中で対話しながら、どうなるんだろうかと常に思考を繰り返しながら、完成へ進んでいきます。

やっぱり墨流しは、染め上がるまで分からないんですよね。

水面上で見えている色も、その時の水の色や状態に影響されるので、実際の染め上がりとは違います。

染め上がった瞬間に初めて、水面にあった色の答えが分かる。

そこに墨流し独特の難しさがあります。

この作品は、染め上がった瞬間に、二人で飛び上がったのを覚えています。

YOSHIKO
本当にそうでした。

染め上がるまでの恭平さんの緊張感のある顔を、皆さんに見せてあげたいくらいです。

「どうなるんだろう」という空気がすごくありましたよね。

恭平
ものづくりって、特に墨流しはそうなのかもしれませんが、まず「失敗したくない」という思いが第一にあります。

作りながら、失敗しないように、いかに成功へ導くか。

それと同じくらい、美しくなるように、美しい染め上がりになるように。

この2つを考えながら、一生懸命作っています。

染め上がった時に、その答え合わせができるんです。

この作品を染め上げた時には、自分の想像以上の美しさがそこにあって、それがすごく喜びでした。

ただ、染め上がった反物の状態で見ただけでは、それが着物になった時にどう見えるかまでは分からないんです。

反物としての美しさはあります。

でも、着物の形になった時にどうなのかは、やっぱり巻きつけてみないと分からない。

昨日、撮影の時に初めて巻きつけてみたら、反物で見る以上に美しい作品になったなと思いました。


ピンクの答えがひとつ出た作品

恭平
この作品は、ベースの色がピンクに見えると思います。

でも、どこへ行っても「ピンクの着物はあまり作らない方がいい」と言われるんですよね。

ピンクは売りづらいという感覚があって、「あまり作らない方がいい」と言われることが多いんです。

それでも僕は、反抗しているつもりではないんですけど、本能で染めたくなるんですよね。

ピンクに対する反抗心ではなくて、単純に素直な気持ちになると、いつの間にかピンクを染めているところがあります。

ピンクは、僕の中で好奇心の塊なんです。

今回、そのピンクの答えがひとつ出たんじゃないかなと思うような作品になりました。

YOSHIKO
本当にそうですね。

今、恭平さんが「ピンク」と一言で言いましたけど、そのピンクが絶妙なんですよね。

恭平
いろんな色が入っていますからね。

少しアップで見てみましょうか。

YOSHIKO
実はベースのピンクも、赤に近いですよね。

恭平
落ち着いた葡萄色が入っていたり、くすみピンクのような色が入っていたり。

差し色にはブルーもあります。

YOSHIKO
少し彩度を落としたブルーですよね。

ベージュを挟んでいたり、アプリコットのようなオレンジも入っていたり、本当にたくさんの色が入っています。

この作品を見た時に、この色の組み合わせを45歳男性が考えるのって、本当に驚愕だなと思いました。

恭平
それは僕もよく思います(笑)

染め上がったものを見て、「本当に自分が考えた色なんだろうか」と思う時があります。

45歳男性が考えた色にしては、とてもキューティーで。

YOSHIKO
でも、キューティーだけじゃないんですよ。

恭平
エレガントで、ガーリーで。

YOSHIKO
でも、ガーリーまではいかないんですよね。

本当に、色気が出るところで止まっているというか。

女性が欲しいものだけを手にして着られるような作品だと思います。

恭平
本当に、女性の良さを引き出してくれる作品なんじゃないかなと、僕自身も思います。

YOSHIKO
ブルーが入ることで、少し凛とした表情も出るんですよね。

温度感のある色の中に、すっとした感じが出ています。

この作品は、衿元にピンク側を出すのか、それとも落ち着いた側を出すのかで、だいぶ印象が変わりますよね。

昨日巻きつけた時に思ったんですけど、肌がすごく柔らかく見えて、顔色がぱっと明るくなるんです。

うちの墨流しをずっと見てくださっている方なら通じると思うんですが、《理想の藤色》ってあるじゃないですか。

あの作品の“化粧効果”のようなものがあるなと思いました。

あれを着ると、皆さん顔の血色がぐっと明るくなって、女性らしく、色っぽく見える。

ずっと「欲しい」と言ってくださる方が多い作品ですが、その良さも入っている感じがします。

恭平
まとっているだけで、表情が自然に明るくなると思います。

YOSHIKO
そうなんです。

巻きつけた時に、年甲斐もなく言ってしまったんですけど、「お姫様になったような気分」なんです。

顔も明るくなるし、これを巻きつけている時と巻きつけていない時では、絶対に表情が変わると思います。

本当に一回巻きつけたら分かると思うので、ぜひ巻きつけてみてほしいです。

恭平
誰でもお姫様になれる作品ですね。

YOSHIKO
はい、そうなんです。


好奇心と探究心が生んだ、2つの作品

YOSHIKO
今回の2作品とも、すごい色数と技法の重ね方ですよね。

恭平さんの作品がどんどん、本当に絵画のような、「これ本当に染め物なの?」というレベルになっているなと思います。

恭平
今回の2作品は、対比しているような作品になっています。

でも、どちらにも共通しているのは、本当に好奇心と探究心の塊のようなものです。

その結果として生まれた作品かなと思います。

YOSHIKO
なんで恭平さんって、毎回新しいものを生み出せるんだろうね。

こんなに綺麗なものを。

恭平
本当に、好奇心と探究心ですね。

僕の性格だと思います。

YOSHIKO
でもそのおかげで、恭平墨流しというものが、どんどんスペシャルなものになっているのかなと思います。

隣で見ていてびっくりするくらい丁寧に作っていますよね。

恭平
職人さんは皆さん同じようにそうだと思います。

その上で、見る角度や作りたくなるものは、それぞれにあるのかなと思います。

YOSHIKO
私は、毎回恭平さんの作品に想像以上のものを見せてもらっている気がします。

そばで見ていて。

恭平
ありがとうございます。


最後の白いドットに宿る、直感の違い

YOSHIKO
最後に聞いていいですか。

今回の2作品を見比べると、最後の隠し味のように白いドットを飛ばしているところは共通していると思います。

でも、ピンクの《茜空》の方は筆でドットを飛ばしていて、もう片方の《星雲》の方は吹雪のように細やかなドットになっていますよね。

この使い分けは、恭平さんの中であるんですか?

恭平
これも、先ほど言ったように、言葉では表せない「感覚」ですね。

最後にどうしようか。

ドットを飛ばすのか、飛ばさないのか。

飛ばすとしたら、どういう形状にするのか。

どういう方法で飛ばすのか。

それは本当に、その時の自分の頭の中にあるイメージでしかないかなと思います。

直感ですね。

YOSHIKO
なるほど、そうなんですね。

これからも恭平さんの作品は、私たちの心を楽しませてくれるんだなと思います。

恭平
ありがとうございます。

これからも、お客様に楽しんでいただけるような作品を作っていきたいです。

作るということは、自分自身が作っていて楽しくなるようなものでもあると思うので、好奇心と探究心を、より追求していきたいなと思います。


本日20時、オンラインストアにて公開

YOSHIKO
今回の作品も、それぞれ一点ずつ、本日20時にオンラインストアにアップさせていただく形になると思います。

どちらもすごく特別な作品です。

特に《星雲》のくるくるマーブルは、似たようなものをセオアルファ楊柳で作ることはなかなかないと思います。

「こういうものが欲しかった」という方は、ぜひ注目して見ていただけたらと思います。

恭平
本日20時からオンラインストアにアップされますので、皆さんぜひご覧ください。

YOSHIKO
楽しみにしています。

恭平
ありがとうございました。