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2026/05/19 09:56

青いガラスのような、静かな透明感

今回ご紹介するのは、「青いガラス」と書いて“青硝”(せいしょう)。

ピーコック柄をベースにした、セオアルファの反物です。

一見すると静かなブルーの作品。
でもよく見ると、色の奥にさまざまな表情が隠れていて、見るほどに惹き込まれていく——。

そんな作品について、恭平とYOSHIKOで語りました。


爽やかなのに、どこか深みがある青

恭平
はい、ということで、本日の作品紹介を行います。

今回は「青いガラス」と書いて、“青硝”。

ピーコック柄のセオアルファ反物になります。

YOSHIKO
こちら、やっぱりすごく深みのあるブルーですよね。

ブルーに見えながらも、これからの時期にもぴったりな爽やかさもあって、不思議な作品だなと思います。

恭平
そうですね。

ピーコック柄がベースになっていて、そこに細かい吹雪のようなドットが飛んでいるのが特徴になります。

YOSHIKO
このドットもうっすらブルーなんですね。

恭平
そうなんです。

配色としては、少し黄みを感じる青がベースになっていて、その上からパウダーブルーを振りまいているような構成になっています。

さらに差し色として、少しグリーンがかった、黄みのある色を入れていて。

そういう奥行きのある、少し儚さを感じる配色になっていますね。


言葉にしづらい色だからこそ惹かれる

YOSHIKO
モスグリーンっていうほど濃くはないんだけど、ただのグリーンとも違う。

なんて言えばいいんだろう。
ちょっと深みがあって、おしゃれな色なんですよね。

恭平
黄色のようでもあり、グリーンのようでもある。

YOSHIKO
そうそう。

でもこの作品って、着物の形にした時にすごく動きが出るんですよね。

恭平
反物幅でほんのり染め分けをしているんです。

ただ、パキッと分かれる染め分けではなくて、本当に自然に。

YOSHIKO
一見、反物だけだと分からないんだけど、着物の形になった時にすごく活きてくる。

そんな作品だよね。

恭平
何気ない立体感が表現されていますね。


光が差し込むような表情

YOSHIKO
ちょっと光が差し込んでいるみたいな、自然現象に近い滑らかな色の移り変わりがすごく特徴的だなと思います。

恭平
作り手としては、一見わからないようなところに、自分なりのこだわりや仕掛けがあるものが好きなんですよ。

だから、その分かりづらい部分の美しさに気づいてくださる方に、お迎えいただける作品なのかなと思っています。


上品さと遊び心の絶妙なバランス

YOSHIKO
私はこれをイメージ撮影で羽織った時に、すごく高級感のある作品だなと思ったんです。

でもそれだけじゃなくて、上品さの中に遊び心もある。

絶妙なバランスで、「これを着ているだけで好印象になる」ような作品だなと思いました。

恭平
実際、当ててみるとすごくフィットする色なんですよね。

うちの作品の中には様々な青系がありますが、その中でもこの青は、“夏らしい爽やかな青”とは少し違う。

少しくすみを感じるというか、彩度を落ち着かせた青なんです。

YOSHIKO
なんか、すりガラスの奥にある色みたいなんだよね。

色が前にパキッと出てくるわけじゃないんだけど、柔らかさがある。

透明感や清涼感がありつつ、どこか奥ゆかしさも感じるというか。

恭平
だからこそ、他の作品に埋もれやすいんですよね。

明るかったり、個性的だったりする作品の中に入ると、静かな存在だから。

でも、僕の中では“隠れた名作”のように感じている作品です。


日本画のような静けさ

YOSHIKO
私はこの作品を見た時、日本画みたいだなって思ったんです。

風景の中に迷い込んだような、癒しを感じる。

滝を見に行った時みたいに、心が少しずつ浄化されていく感じ。

恭平
じわじわと、内側から良さが染み出てくるような作品ですよね。

YOSHIKO
そんな感じ、すごくしました。


雨の日にも似合う着物

恭平
この作品って、雨の日に着てもすごく情景に溶け込むと思うんです。

雨の日って、少し気分が落ち込みやすかったりするじゃないですか。

でも、この着物を着ることで、そういう日さえも少し特別に思える。

そんな作品になるんじゃないかなと思っています。

YOSHIKO
確かに、ちょっとアンニュイな気持ちになるよね。

でも逆に、すごく晴れた日に、棚田とか田んぼのある景色でも撮りたくなる。

長岡って夏前になると田んぼに水が張られて、景色が本当に綺麗なんですよね。

そういう自然のある風景にもすっと溶け込みますし、逆に銀座のような都会的な街並みにも上品にフィットすると思います。

白い夏帯を合わせてホテルランチしても絶対素敵だし、パールの小物とも相性良さそう。


“一目置かれる”墨流し

恭平
墨流しの中でも、少しアレンジの効いた作品なので、一目置かれる存在になるんじゃないかなと思います。

YOSHIKO
確かに。

この題名をつけた時、ちょっと読みづらかったですよね。

恭平
「削る」の「削」に見えたり。

少し分かりづらかったかもしれません。


「青いガラス」という名前の由来

YOSHIKO
これは、“青いガラス”というイメージで「青硝」と名付けました。

実は以前、美術館で古代ガラスの展示を見たことがあって。

時を経たガラスって、ただ透明なだけじゃなくて、少し曇っていたり、マットになっていたりするんですよね。

その“時間を重ねたからこそ生まれる美しさ”を感じたんです。

この作品にも、どこかそれに近いものがあるなと思って。

恭平
確かに、新しい染め立てというより、少し時間の奥行きを感じる作品ですね。

YOSHIKO
光によって見え方が変わるような、そんな“うつろい”の美しさが出ている気がします。

恭平
味わいや立体感を感じますよね。


浴衣にも、着物にも

YOSHIKO
本当にお気に入りの作品です。

隙あらば仕立てたい。欲しくなっちゃう。

恭平
YOSHIKOさんの肌にもぴったり合う色なので、完全に狙ってますね。

YOSHIKO
狙ってます(笑)

これ、浴衣として着てもすごく品が良いし、着物として着ても素敵なんです。

真っ白な部分がないので、ブルーだからといって夏だけじゃない。

春なら紫系の小物を入れてもいいし、秋にはブラウンやベージュの帯も絶対合う。

本当に想像が膨らみます。

恭平
コーディネート次第で、自由自在に季節を変えられる一着ですね。


おわりに

静かな色なのに、見れば見るほど引き込まれる。

爽やかなのに、どこか奥ゆかしい。

「青硝」は、そんな不思議な魅力を持った作品でした。

着る季節や天気、合わせる小物によっても、まったく違う表情を見せてくれる一反。

ぜひ、ご自身ならどんな風に着たいかを想像しながら、ご覧いただけたら嬉しいです。