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2026/05/14 10:22
濃紺とグレージュが生み出す、都会的な透明感
今回のPortrait Daysでご紹介するのは、濃紺とグレージュの“大矢羽根柄”を美しく纏ってくださったお客様。
都会的でスタイリッシュな空気感の中に、柔らかさや親しみやすさも感じられる、とても印象的なコーディネートでした。
お写真を見ながら、恭平とYOSHIKOで振り返ります。
大胆に見えて、実は繊細な「大矢羽根柄」
恭平
今回ご紹介するお客様はこちらの方です。

YOSHIKO
わぁ、すごい素敵だね。
恭平
綺麗ですね。
今回のお着物は、濃紺とグレージュで配色した“大矢羽根柄”になります。
大矢羽根柄というのは、うちで定番として展開している矢羽根柄を、より大きな柄で表現したものなんです。
「大矢羽根」という名前だけ聞くと、大胆な柄をイメージされる方も多いんですが、実際に染めて仕立ててみると、意外とストライプ柄のような印象になるんですよね。
だから今回のお客様のようにスタイルの良い方にはもちろん、小柄な方にも収まり良くフィットする柄なんです。
YOSHIKO
反物だけで見ると、柄が大きく感じたりするんだけど、こうやって着物の形になると、すごく繊細で透明感があるように見えるよね。
私も150cmくらいだけど、合わせてみると全然“柄に負ける”感じがしないのが不思議。
“抜け感”を生み出す配色
この大矢羽根柄の特徴は、濃い柄部分と、無地感のある余白部分が共存していること。
それが、この着物独特の抜け感につながっています。
恭平
半分は濃いめの柄、もう半分は無地感のある柄になっているので、そこに抜け感が生まれるんですよね。
YOSHIKO
このグレーがまた、透明感を引き出してる感じがするよね。
恭平
そうですね。
しかも今回のお着物は、うちの定番の濃紺×グレージュよりも、ほんの少しだけ暖かみを加えた配色になっています。
だから、お客様のようなブラウンの髪色ともすごく自然に馴染むんですよね。
YOSHIKO
髪色とのリンクもすごく素敵。
耳飾りとの合わせ方も、またおしゃれなんだよね。
“アレンジ仕立て”が生み出す立体感
今回のお着物は、仕立て方にも遊び心がありました。

YOSHIKO
最初見た時、「追っかけ仕立てかな?」と思ったんだけど、ちょっとアレンジが効いてるよね。
恭平
そうなんです。
片方の袖は袖口側に濃紺を持ってきて、もう片方は逆に袖付け側に濃紺を配置しています。
一見、追っかけ仕立てのようにも見えるんですが、身頃部分はぶっつけ仕立てのような構成になっていて。
最終的に全体のバランスを見ながら、自由に配置していった仕立てなんです。
うちでは「アレンジ仕立て」と呼んでいます。
YOSHIKO
それがすごく効いてるよね。ラインがぐっと出ていて。
上前のところに濃紺がしっかり出て、下前には白場がある感じ。
私も真似したいなって思っちゃいました。
恭平
この配色は、仕立て方によっては“粋”な雰囲気になりやすいんです。
でもこういう風に少し遊びを入れることで、抜け感が生まれて、柔らかい印象になるんですよね。
襟元で変わる“その人らしさ”
今回のコーディネートでは、淡い色の半衿が全体の印象を柔らかくまとめていました。
YOSHIKO
この方は淡い色の半衿を合わせてくださってるけど、もし濃い色を合わせたら、一気にキュッとしたシャープな印象になると思うんです。
でも、淡い色にすることで、この方の柔らかい雰囲気がちゃんと表現されている感じがする。
その人らしさって、こういうところにも出るよね。
パイソン柄の帯が生み出す都会感
今回合わせてくださっていたのは、珍しいパイソン柄の帯。
墨流しの上品さと組み合わさることで、絶妙なバランスが生まれていました。

恭平
この帯を合わせることで、一気に都会的な世界観になりますよね。
YOSHIKO
かっこいい印象なんだけど、墨流しの上品さがあるから、強くなりすぎないんだよね。
バランスがすごく良い。
羽織を合わせた瞬間、空気が変わる
さらに、この日は羽織も合わせてご来場くださいました。

YOSHIKO
わぁ、かっこいい。
恭平
こちらの羽織は、墨流し柄にぼかし染めを施したものになります。
実はうちの墨流しではないんですが、同じ墨流し柄としてすごく自然にリンクしていて。
本当に素晴らしいコーディネートでした。
YOSHIKO
羽織を合わせると、一気に“ぎゅっ”とかっこいい空気感になりますよね。
スタイリッシュだけど、近寄りやすい
今回印象的だったのは、“かっこよさ”だけで終わらない絶妙なバランス感でした。
恭平
お顔立ちがすごくスタイリッシュな方なんですが、そこにちゃんと遊び心があるんですよね。
もし全部を強くまとめすぎると、カリスマ感が出すぎて、少し近寄りがたい印象になることもあると思うんです。
でも、この遊び心が入ることで、親しみやすさとか話しかけやすさが生まれている。
そこがすごく素敵だなと思いました。
YOSHIKO
もし街で偶然見かけたら、「すごいおしゃれな人がいる」って振り返っちゃうと思う。
憧れるよね。
恭平
もし僕らが墨流しを知らない立場だったとしても、「それ、どこで買えるんですか?」って聞いてしまうくらい素敵な着こなしですよね。
“楽しんでいる空気”が伝わる人

YOSHIKO
このお客様って、お話ししていても本当に楽しそうにいろんなことを教えてくださるんですよね。
恭平
笑顔が素敵なんですよ。
YOSHIKO
その明るさとか、ポジティブな空気感が、写真からも伝わってくる。
恭平
一緒にいるだけで、ポジティブな気持ちになれそうですよね。
Portrait Daysだから見えてくるもの
Portrait Daysを通して感じているのは、“会場で見る姿”と“写真で改めて見る姿”は、また少し違うということ。



恭平
会場では、どうしても接客もしながらになるので、じっくり見ることができなかったりするんですよね。
でもこうやって写真で改めて見ると、また違う視点でお客様と向き合える。
その時の空気感や記憶も、ゆっくり思い返すことができるんです。
だから次にお会いした時には、また違う目線でお話できたりもする。
すごくいい機会だなと思っています。
YOSHIKO
こういう写真を見ていると、「またこの色染めたいな」とか、「こういうデザイン作りたいな」って思うよね。
恭平
思いますね。
改めて作品を見返すことで、「こういう色もありかもしれない」とか、「ここにもう少しこういう要素を加えてみようかな」とか。
創作意欲にもつながっています。
おわりに
今回のお客様のコーディネートは、都会的で洗練されているのに、どこか柔らかく、親しみやすい空気を纏っていました。
着物そのものの美しさだけではなく、その方の人柄や空気感まで含めて完成している。
Portrait Daysを続けるたびに、そんな“着物の完成形”を見せていただいている気がします。