BLOG
2026/05/12 10:21
「この方だ」と感じた、運命の一反
今回のPortrait Daysでご紹介するのは、蝶柄をベースにした特別な作品を纏ってくださったお客様。
柔らかさと可愛らしさ、そして少しクールな空気感まで共存した、とても印象的なコーディネートでした。
撮影したお写真を見ながら、恭平とYOSHIKOで振り返ります。
お着物を纏った瞬間に伝わる“高揚感”
恭平
はい。本日の恭平墨流し Portrait Daysのご紹介です。
本日のお客様はこちらの方です。

YOSHIKO
うわー、本当に綺麗だよね。こうやって改めて見ると。
恭平
とにかく可愛い。
YOSHIKO
この笑顔がまた良いんだよね。
恭平
このお着物を纏うことで、気持ちが上がっているっていうのが、すごく伝わる写真ですね。
蝶柄をベースにした“少し特別な一枚”
今回のお着物は、恭平墨流しの中では「蝶柄」をベースにしたデザイン。
ただ、通常の蝶柄とは少し違う、変化球のような作品でした。

恭平
この柄は、うちで言う“蝶柄”をベースにしたデザインになります。
YOSHIKO
ちょっと変化球なんだよね。
恭平
そうですね。
特徴としては、両サイドにうっすらピーコック柄が潜んでいることと、真ん中のブラウン部分の表現。
いつもの蝶柄だと、もっとダイナミックな動きを出すんだけど、この作品では“可愛らしさ”を意識して制作したので、少し収まりの良い表現になっています。
YOSHIKO
いつもの蝶柄って、横に広がるような動きが多いんだけど、この作品は少し違うんだよね。
恭平
本来は、もっと大胆にはみ出すような表現をするんだけど、今回はあえて整えるように表現していて。
だから、なんだろう。
YOSHIKO
ホイップクリームみたいにも見えるし。
恭平
キューティクルみたいな。
YOSHIKO
ああ、髪の毛のね。
恭平
そうそう。
ラプンツェルみたいな世界観というか。
YOSHIKO
ああ、確かに。
恭平
その絶妙な空気感が、このお客様にすごくマッチしていたのを覚えています。
クールな紫と、無数のハート
この作品の魅力のひとつが、“クールな配色”と“可愛らしいモチーフ”のギャップ。
YOSHIKO
この紫って、ちょっとクールなカラーじゃないですか。
そこにハートがたっぷり入っているっていう、そのギャップがたまらないんですよね。
恭平
この飛び柄のようなハートは、YOSHIKOさんが作ってくれたものですね。
YOSHIKO
そうなんです。
反物全体に、同じようなトーンで、ハートがぴょんぴょん外側へ向かって飛び出していくようなイメージで描いていました。
もちろん墨流しなので、毎回まったく同じ形にはできないんだけど、なるべく同じくらいの大きさで、ぽこぽこ並ぶように意識していて。
恭平
でも、そのハートひとつひとつに個性が出るのが、墨流しの面白さでもあるんですよね。
型染めや手描きでは表現できない、“その瞬間だからこそ生まれた偶然性”が、それぞれのハートに宿っている。
そこが面白い。
YOSHIKO
実は、反物いっぱいにずっとハートを描き続けるって、なかなかできないデザインなんですよ。
でもこの時は、染色の状態もすごく良くて。
ハートが本当に綺麗に描けた、自信作でもあります。
「あ、この方だ」と思った瞬間
恭平
配色も柄も、本当に絶妙な作品になったなと思っていて。
だからこそ、「どんな方がこの反物と出会ってくれるんだろう」と思っていたんです。
でも、このお客様が反物を合わせた瞬間、僕の中で「あ、この方だ」っていう感覚があったんですよね。
YOSHIKO
あったよね。
実はこの作品、松屋銀座さんのイベントで出会っていただいたんです。
しかもその数日前に、別のお着物を納品したばかりだったんですよ。
まだそのお着物を着てもいないのに、
「でも出会っちゃったんです」
って。
「これはお迎えしないわけにはいかない」
っていう感じだったんですよね。
恭平
墨流しって、本当に“出会い”なんですよね。
どんなタイミングでも、出会ってしまったら、その瞬間に引き合うものがある。
また次に出会えるとは限らないから。
YOSHIKO
そうなんだよね。
ある意味、自分の事情とは関係なく訪れるというか。
恭平
恋愛とかもそうかもしれないけど、“運命の出会い”って、急に来たりするじゃないですか。
墨流しにも、似たような現象が起こるんですよね。
クールさの中に引き出された柔らかさ

恭平
この写真を見ていて思うのは、このお着物がお客様の新しい魅力を引き出してくれているということ。
お顔立ちは一見クールで、粋な雰囲気の柄もすごくお似合いになる方なんです。
実際、以前は大きいマーブル柄もお迎えいただいているんですが、今回みたいな色合いや柄を纏うことで、また違った柔らかさが引き出されている感じがするんですよね。
YOSHIKO
そうだね。
これまでも、可愛らしさが少し潜んだ作品を選んでくださってはいたんだけど、今回のバランスが本当にその方らしい。
縦ラインが綺麗に出る柄だから、よりスッと見えて、すごく引き立っていました。
実際、会場でも登場した瞬間に皆さんの注目の的になっていて。
恭平
会場が一気に華やぐんだよね。
初期の墨流し草履と、お客様との時間
そして足元には、初期に制作した墨流し草履。
長い時間を共に歩んできたお客様だからこそのコーディネートでもありました。
YOSHIKO
この草履、4〜5年前くらいかな。
初めて鹿革の草履を作った時にご注文くださったものなんです。
恭平
当時は、かなりお届けまで時間がかかったんですよね。
職人さんの手仕事だったこともあるし、受注生産だったので。
YOSHIKO
オンラインでのやり取りだったんだけど、本当に温かく待ってくださって。
その時の印象が今でもずっと残っています。
今では、私にとっても大切な方ですね。
お客様と一緒に、ブランドを育てている
恭平
うちのお客様って、作り手の気持ちを本当に理解してくださる方が多いんですよね。
僕ら以上に、職人さんの仕事に対してリスペクトを持ってくださっている。
だから、ただ“作って売る”だけじゃなくて、お客様と一緒にブランドを育てている感覚があるんです。
YOSHIKO
そういうお客様がいるからこそ、私たちも時間がかかるものだったり、手の込んだものに挑戦できる。
もし“早さ”だけを求められる世界だったら、今みたいなものづくりはできなかったと思う。
でも、皆さんが本当に大切な部分を理解してくださっているから、私たちものびのび挑戦できているんですよね。
恭平
結局、「何が大事なのか」を理解してくださっているからこそ、僕らも本当に作りたいものを届けられる。
そういう形が成り立っているんだと思います。
Portrait Daysが生み出した距離感
今回のPortrait Daysでは、お客様とYOSHIKOとのツーショット撮影も。
それもまた、特別な時間になりました。


恭平
こういう風に、YOSHIKOさんと一緒に写真を撮る機会って、普段はなかなかないんですよね。
でも、この写真が思い出になるし、お客様との距離もすごく縮まる。
お互いに宝物になる感じがする。
YOSHIKO
本当そう。
この間、カメラマンさんやスタイリストさんともお会いしたんだけど、「あの会場、本当に雰囲気が良かったよね」って振り返ってくださったんですよ。
恭平
いろんな現場を経験している方達にも、「あそこは最高だった」って思ってもらえたのが、本当に嬉しかった。
それは、お客様が墨流しを楽しんでくださって、ブランドの世界観も理解してくださっていたからこそ生まれた空気だったんだと思います。
おわりに
Portrait Daysは、写真を撮るだけの企画ではありません。
作品と人が出会い、その人らしさが引き出され、そしてまた新しい物語が生まれていく。
今回のお写真からも、そんな瞬間をたくさん感じさせていただきました。
これからも、この時間を大切に続けていけたらと思っています。
