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2026/05/07 11:11
お客様の装いが、作品を完成させてくれる
先日開催した「恭平墨流し Portrait Days」。
恭平墨流しを纏ってご来場くださったお客様を、会場で撮影させていただく企画です。
今回は、実際に撮影したお写真を見ながら、恭平とYOSHIKOで振り返りました。
まずは、Poison Heartの着物から
恭平
はい、じゃあまずPortrait Days、1人目のお客様のお写真を見てみましょう。
YOSHIKO
おー、楽しみ。わー、いいね。



恭平
こちらですね。やっぱり会場が華やかになるよね。
YOSHIKO
すごい可愛かったよね。
この着物にこの帯を合わせるって、やっぱり上級者すぎる。
こちらのお客様は、着物、帯、草履まで、上から下まで墨流しのコーディネートでまとめて来てくださいました。
恭平
このハート柄が、すごく目を引くよね。
YOSHIKO
そう。この作品はハートがたくさん入っていて、反物の中に2列、場所によっては3列くらいハートが並んでいるような構成だったんだよね。
普通、着物を染める時は、仕立てた時に柄ができるだけ綺麗に合うように、かなり神経を使って染めるんだけど、この「Poison Heart」は少し違っていて。
最終的に着物になった時に可愛ければいい、くらいの自由さがある作品だったと思う。
恭平
そうだね。綺麗に並べるというよりは、少しランダム性があって。
名前の通り、少し毒味のあるような感覚で作るというのが、この作品のテーマだったかもしれない。
YOSHIKO
裾の方を見ると、ハートが横向きになっていたり、いろんな方向を向いていたりするんだよね。
「ここだけ変」みたいな部分も、遊び心として見つけた時に面白くなったらいいなと思って描いた覚えがあるんだけど、こうやって見ると、それがすごく効いてる。
可愛いね。
恭平
このハートシリーズの中でも、このハートの描き方は本当にこれしかないというくらい、唯一無二の作品になっていると思います。
全体で見た時に、ハートがすごく映える。
YOSHIKO
でも、可愛らしすぎないんだよね。
恭平
そう。大人のハートという感じの色味だから。
YOSHIKO
ちょっとチョコチップみたいだね。
お客様のコーディネートから学ぶこと
この日合わせてくださっていた帯は、「Candy Wing」の名古屋帯。
明るさと遊び心のある帯が、Poison Heartの世界にまた別の表情を加えてくれていました。
恭平
この合わせ方が、またさすがだなと思っていて。
僕らは、着物なら着物、帯なら帯を単体で染める時に、それがより美しく、可愛く見えるように考えて作るんだけど、実際にお客様のコーディネートを見ると、
「お客様の方が、墨流しの使い方をわかってくださっているな」
と思うことがよくあります。
YOSHIKO
そうだよね。
このPoison Heartの作品は、私の中では少し夜っぽいイメージがあったんだよね。
ハロウィンとか、夜の月とか、そういう雰囲気。
だから私がコーディネートするとしたら、全体的に夜っぽくまとめてしまいそうなんだけど、そこにこの帯を合わせることで、少し昼の明るさが入っている感じがして。
絵本の世界から飛び出してきたみたいで、すごく可愛い。
恭平
こういう風にお客様の姿を見せていただくと、僕ら自身も「着物ってこんなに自由でいいんだ」と学ばせてもらえます。
着物には、どうしても“こうあるべき”という常識や枠のようなものがあります。
でも、実際に着てくださるお客様の姿を見ると、その枠を軽やかに越えていて。
やっぱり、着物は着てくださる方がいて初めて完成するものなんだなと感じます。
片身代わりの着物と、自然を感じる装い
このお客様は、2日続けてご来場くださいました。
2日目には、さらに2着のお着物を持ってきてくださり、途中でお着替えも。
そのうちのひとつが、片身代わりの墨流し着物でした。




YOSHIKO
これ、片身代わりだよね。
でもすごく上品。
恭平
こちらは片身代わりになっています。
配色は同じなのですが、上前に矢羽根柄、下前にドット柄が入っている配置です。
YOSHIKO
色が一緒だからまとまりはあるんだけど、柄に遊びがあるんだよね。
自然の景色みたい。
竹林の中に光が差しているところと、影の静かな部分があるみたいな。
恭平
矢羽根の部分が竹林のように感じられて、下前のドット柄は海のようにも山のようにも見える。
本当に自然を感じさせる表現になっていますね。
YOSHIKO
そこにブルーのピーコック柄の帯を合わせてくださっていて、川の流れを彷彿とさせるというか。
すごく素敵だね。
しかも草履まで墨流しで、色もぴったり。
恭平
草履の天の部分のレモンイエローが、着物にすごく効いているんだよね。
YOSHIKO
帯締めの黄色ともリンクしているし、帯留めはいちごに鳥が乗っているデザインで、耳飾りの赤ともつながっていて。
本当にすごい。
ファッションとして完成されてるよね。
写真だから見えてくる、お客様のこだわり
会場では、なかなかじっくり細部まで見ることができません。
でも、写真として残すことで、後から改めて気づくことがたくさんあります。
恭平
会場にいる時は、まじまじと見るのも失礼かなと思ってしまうところもあるんだけど、こうやって写真で細かく見ていくと、お客様の思いや本気度が伝わってくるよね。
YOSHIKO
そうなの。
アイシャドウが半襟のベージュとリンクしていたり、足袋と指輪の色が合っていたり。
皆さんのこだわりが、写真だとよりわかる。
この日のために、きっと何日も前から考えてくださったんだろうなと思うと、本当に嬉しいよね。
恭平
その瞬間をこうやって記録に残せたことは、僕にとってもすごく大きかったです。
YOSHIKO
皆さんの愛が、この写真にぎゅっと詰まっている感じがする。
私たちにとっても宝物だよね。
もうひとつのPoison Heart
この日、もうひとつ見せてくださったのが、別のPoison Heartのコーディネート。
こちらも着物、帯、草履まで墨流しで揃えてくださっていました。





YOSHIKO
かわいい。これは私とお揃いというか、私も似た配色のPoison Heartを持っているんだよね。
恭平
同じ配色のPoison Heartですね。
こちらも、着物と帯、草履まで全て墨流しで揃えてくださっています。
YOSHIKO
帯揚げのオレンジが効いてるね。
この作品自体にも少しオレンジが入っているんだけど、そこから色を拾ってコーディネートしてくださっている。
耳飾りも帯揚げとリンクしていて、帯はエメラルドグリーン。
少しスポーティーな印象もあって、すごく可愛い。
恭平
墨流しの名古屋帯の真ん中にショッキングピンクが入っていて、そこと全体のバランスがとても可愛らしいですね。
YOSHIKO
髪型まで、この日のためにアレンジしてくださっていて。
やっぱりPortrait Daysっていいね。
自然な表情が引き出される時間
Portrait Daysで印象的だったのは、お客様の表情でした。
写真館でかしこまって撮るようなものではなく、もっと自然で、少し子どもの頃に戻るような感覚。



恭平
お客様が、子どものように表情がピュアに戻るというか。
YOSHIKO
七五三の時、こんなお写真だったんじゃないの?って思っちゃうくらいの表情が出てるよね。
恭平
最初は緊張するんだけど、スタッフさんたちがリラックスさせてくれることで、少しずつ自然な表情になっていく。
それがすごく良かった。
YOSHIKO
今回のPortrait Daysって、撮影の時の雰囲気もすごく良かったよね。
ちょっとプリクラの延長みたいな気軽さがあったというか。
「ちゃんとした写真を撮るぞ」というより、「撮ろうよ!」という感じ。
それがすごく楽しかった。
恭平
モデル撮影のようにかっこつけるのではなくて、自然な表情でいること。
それが一番無理がなくて、今回の写真のテーマにも合っていたと思います。
作品は、纏う人によって完成する
今回のPortrait Daysを通して、改めて感じたことがあります。
それは、墨流しの作品は、作った時点で完成ではないということ。
お客様が選び、コーディネートし、纏ってくださることで、初めて完成するのだと思います。


YOSHIKO
恭平さんが染めて、お客様が来てくれて、その人のコーディネートとマッチして、初めて作品の完成形になる。
この間の対談でもそんな話をしていたけど、写真で見ると、その人の見た目だけじゃなくて、人柄まで含めて作品になっている感じがする。
恭平
見栄えだけではなくて、内側からにじみ出る良さまで、写真に奥行きとして現れている気がします。
YOSHIKO
これ、10年後、20年後に見返したら泣くと思う。
恭平
お客様自身にとっても、きっと宝物になると思います。
Portrait Daysは、これからも続けていきたい企画です
今回が初めての開催だったPortrait Days。
やってみて初めて見えたこと、形になったからこそ伝わったことがたくさんありました。
YOSHIKO
今後も、こういうイベントの時にPortrait Daysができるなら、ぜひ続けていきたいよね。
恭平
今回初めてだったので、僕の中には「こういうものを撮りたい」というイメージはあったんですが、やっぱり実際に形にして初めて伝わるものがありました。
今回の写真を見て、
「私もこういう風に記録に残したい」
と思ってくださる方がいれば、ぜひ参加していただきたいです。
YOSHIKO
楽しみだね、今後も。
恭平
はい。これからも続けていきたい企画ですので、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。
おわりに
Portrait Daysは、ただ綺麗な写真を撮るための企画ではありません。
恭平墨流しを纏ってくださるお客様の姿を、ひとつの記録として残すこと。
そして、作品がその方の中でどんなふうに生きているのかを、私たち自身も見せていただく時間でした。
着物は、纏う人がいて初めて完成する。
今回のお写真を見ながら、改めてそう感じています。